白砂微譚

あらゆるものが白い砂になる世界
その果ての浜辺で観測者をしている博士、の元に見習いとしてやって来た少年のお話。

  ―――

 この世のあらゆるものは寿命が来ると白い砂になる。
 消えはしないけれど、その形を残すことはない。何であれ、命の後には白い砂としてしか残らない。白い砂はこの浜辺や海の底に積もり、元いた場所には何も残らない。
 ここは、世界の果てだ。

 白い砂に沁み込むような、白い砂に溶けるような、まるで音もなく流れる白い砂そのものみたいな声音で、博士は僕に白い砂とこの浜辺のことを教えてくれる。


sample(冒頭)


仕様

文庫サイズ/本文42ページ/¥300-
本体表紙:アラベール スノーホワイト、本文用紙:白上質70kg、遊び紙(前):色上質最厚口 白
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通販



この本(と自分)のこと。

ついったーでも書いたけれど、これの前に出した『永遠まで、あと5秒』という本は、書いているときにはあまり考えていなかったけど思ったより思い入れて根詰めていたみたいで、書き終えたときにはかっさかさになっていて、そのかっさかさだったところに降ってきたのがこのお話です。

『永遠まで、あと5秒』を作った後、春にもう1冊出したいな〜となんとなく思っていて、でもそのとき書きかけだったりしたもので春に本にできそうなものの見当がついていなくて、しかも全然書けなくて、それまでの約1年くらい、なんだかんだずっと何かの原稿をしていたので、自分でもちょっと、あれーという感じで。
それがある日突然、このお話の冒頭が降ってきて、それから数日、降ってきては書き留めてを繰り返していたら、初稿になっていました。(本当にその数日はいつでもどこでも降ってきたら書き留めるということをしていた。そしてその、降ってくる、はお話の終わりとともにぱたっと終わった。)
降ってきたものだけれど雨ではなくて、かっさかさで、なんとなくだけれどあのときだからこそ書けたものかなと思います。結局初稿からほとんどいじらずに本になりました。
これを書いた後、ほかの原稿も少しずつだけれど書けたりして、もう一度扉を開けてくれたような、そんなお話です。あくまでも私にとって、だけれど。

この世界はずうっと私の中にあった(ある)のかもしれないし、私の理想なのかもしれないし、
私もいつか白い砂になるのかもしれないし、ただずっと白い砂を眺めているのかもしれない。
そんなお話。